漢方基礎講座
14. 経絡学説(1) 経絡の生理機能


<経絡学説>
「経絡学説」は人体の経絡系統の生理機能、病理変化、臓腑、気血津液との相互関係を研究する学説であり、中医薬学理論体系の重要な構成部分です。


I. 経絡の生理機能

 経絡は、全身の気血を運行し、臓腑肢節を連絡し、表裏・上下・内外をつなぎ、体内各部分の生理機能のバランスを調節する連絡系統です。

 人体は「五臓六腑」、「四肢百骸(ししひゃくがい:四肢・体幹のこと)」、「五官九竅(ごかんきゅうきょう:五官とは、鼻・眼・口唇・舌・耳のこと。 九竅とは、眼・耳・鼻・口・前陰(尿道と外生殖器)・後陰(肛門)の九孔のこと)」、「皮肉筋骨」などから構成され、これらの臓器はそれぞれ異なった生理機能を持ち、相互に作用しあい 連係することにより、さまざまな生理機能のバランスを維持しています。このバランスの維持は、主に経絡系統の連結作用により機能しています。

 人体の各組織器官は、気血の滋養がないと正常な生理活動を維持できません。経絡により、気血の全身への運搬、臓腑・組織・器官への 栄養運搬作用、外邪(体外からの病因)への抵抗、防衛作用が維持されています。

  経絡系統には、「経絡感伝現象」、すなわち、鍼を刺すなどの刺激をほかの部位へ伝導伝達する作用があります。 この刺激伝達作用を利用し、各臓腑の機能調節を行う治療が「鍼灸」です。


(by 漢方アドバイザー・PhD.Ar)

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