漢方基礎講座
12. 生薬の基本作用(3) 昇降浮沈


III. 昇降浮沈

 中医学において、「昇(しょう)」は嘔吐、しゃっくり、喘息などの上向きの症状、「降(こう)」は脱肛、尿モレ、月経過多などの下向きの症状、 「浮(ふ)」は寝汗などの外向きの症状、「沈(ちん)」は表証未解で裏に入る(例えば、体表近くで感染した風邪がひどくなり内臓まで罹患すること)などの内向きの症状を表します。

 薬物にも、「昇」・「降」・「浮」・「沈」という4種類の異なる作用の方向性があり、症状に応じた方向性の薬物を投与することで、 症状を緩和し病気を改善します。

 「昇浮薬」は、大部分が「温熱」で「辛」「甘」「淡」に属し、花・葉・皮・枝など質の軽い薬物で、作用の方向性は主に上昇で、外に向いています。

症状のある部分が「上」と「表」の場合(風邪など)や、脱肛、尿モレなど「下陥(げかん)」の症状に用います。

  「沈降薬」は、大部分が「寒涼」で「酸」「苦」「鹹」に属し、種・果実・鉱物・貝殻など質の重い薬物で、作用の方向性は主に下降で、
内に向いています。

症状のある部分が「下」と「内」の場合(例えば便秘など)や、嘔吐、しゃっくりなどの「上逆」の症状に用います。

 中医学では、疾病の発生部位の上下表裏や、症状の上逆下陥の違いに対し、薬物の昇降浮沈の特性により、適切に選択し使用することが、 用薬指導の原則とされています。


(by 漢方アドバイザー・PhD.Ar)

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