益母草(ヤクモソウ):生薬・漢方辞典
●医薬品原料 漢方系生薬
益母草(ヤクモソウ)
- 語源
学名 メハジキ属 Leonurus:ギリシャ語の「ライオン」(leon)+「尾」(oura)、すなわち長い花序の形(花穂)がライオンの尾に似ていることにもとづく。
種小名 japonicus:「japonicus=日本の」という意味。
和名 メハジキ:子供たちが茎を短くちぎり弓なりにまげて上下のまぶたにはさみ、まぶたを閉じる勢いで遠くへ弾き飛ばしたりして遊ぶことからこの名前がついたと言われている。
別名 ヤクモソウ(益母草): 母の益になる草の意で、婦人薬として利用されてきた。
- 基原
Leonurus japonicus Houttuyn メハジキ
Leonurus sibiricus Linne シソ科 二年生草本
- 薬用部分
地上部
- 産地
日本(本州以南)、台湾、朝鮮半島、中国など - 主な成分
フラボノイド配糖体(ルチン)、アルカロイド(レオヌリン、レオヌリジン)、アミノ酸(スタキドリン)、脂肪油、樹脂
- 主な薬効
利尿、子宮収縮作用 - 代表的処方
月経不順、めまい、下腹痛、生理痛、打撲、痔のほか、利尿作用があるので急性糸球体腎炎にも用いられる。
【芎帰調血飲】キュウキチョウケツイン
産後の神経症・体力低下、月経不順に用いる。本処方に芍薬、桃仁、紅花、枳実、桂枝、牛膝、木香、延胡索、各1.5を加えたものを「芎帰調血飲第一加減」と称する。効能は血の道症、産後の体力低下、月経不順。
(処方内容) 当帰/川芎 /地黄/朮/茯苓/陳皮/烏薬/香附子/牡丹皮/益母草/大棗/甘草/乾生姜
【【益母丸】ヤクモガン
婦人産前産後の諸病に用いる。
(処方内容) 益母草/川芎/ 赤芍薬/当帰/木香 各1 後の4味を細末とし、煮詰めた益母草の膏煮汁で弾丸大の丸にし、温酒で服用する。 - 文献報告
【抗瘀血】
瘀血に用いられる生薬の有効成分に関する研究(第1報) 瘀血に用いられる生薬の抗凝血活性
(Yakugaku Zasshi,1984,104,1050-1053)
【抗高脂血症】
Leonurus sibiricus Herb Extract Suppresses Oxidative Stress and Ameliorates Hypercholesterolemia in C57BL/6 Mice and TNF-α Induced Expression of Adhesion Molecules and Lectin-Like Oxidized LDL Receptor-1 in Human Umbilical Vein Endothelial Cells
(Yakugaku Zasshi,1969,89,1367-78)
- 参考文献
「生薬単」「日本薬局方」「中薬大辞典」「牧野和漢薬草大図鑑」「和漢薬の事典」「日本薬草全書」