良姜(リョウキョウ):生薬・漢方辞典
●医薬品原料 漢方系生薬
良姜(リョウキョウ)
- 語源
ハナミョウガ属の Alpinia は、イタリアの医師、またパドヴァ大学の植物学の教授であるアルピーニ(Prospero Alpini、1553-1617)に由来。アルピーニは熱帯植物について研究し、またエジプトの植物に関する本をいくつか著した。
属名の和名の元となっているハナミョウガ(花茗荷、Alpinia japonica)は、葉や茎がミョウガ(Zingiber mioga)に似ており、ミョウガよりも華やかな花が咲くためにハナミョウガと名付けられた。
種小名 officinarum は、ラテン語で「薬用の」の意。薬効を持つ様々な植物の種小名にこの言葉が用いられている。また、高良姜の名は高良郡(現在の広東省南部)に産することに由来する。 - 基原
Alpinia officinarum Hance
リョウキョウ(良姜)、コウリョウキョウ(高良姜)
ショウガ科 多年生草本
日本では一般に良姜と呼ばれる。ちなみに大良姜というのは中国南部や熱帯アジアで栽培されている同属植物のナンキョウソウ([中]大高良姜、ダイコウリョウキョウ A. galanga)の根であり、広西省では高良姜として用いている。
- 薬用部分
根茎 - 産地
中国(広東、広西、雲南、海南島など) - 主な成分
精油: シネオール、ピネン、オイゲノール 辛味成分: ガランゴール フラボノイド: ガランギン、ケンフェロール、ケンフェリド - 主な薬効
芳香性健胃、鎮痛 - 代表的処方
漢方処方用薬である。健胃及び整腸を目的とした処方に配合されている。日本では漢方処方に用いられることは比較的まれで、むしろ酒類の芳香付け、口中清涼剤などにわずかに使用されている。良姜の作用は、ショウガを基原植物とする乾姜や生姜とほぼ同じといわれているが、良姜は止痛作用にすぐれている。
【安中散】 アンチュウサン
体力中等度以下で、腹部は力がなくて、胃痛又は腹痛があって、ときに胸やけや、げっぷ、胃もたれ、食欲不振、はきけ、嘔吐などを伴うものの次の諸症: 神経性胃炎、慢性胃炎、胃腸虚弱
(処方内容) 桂皮/延胡索/牡蛎/茴香/縮砂/甘草/良姜
【丁香柿蒂湯】チョウコウシテイトウ
体力中等度以下のものの次の諸症: しゃっくり、胃腸虚弱
(処方内容) 柿蒂/桂皮/半夏/陳皮/丁子/良姜/木香/沈香/茴香/ 香/厚朴/縮砂/甘草/乳香
- 参考文献
「生薬単」「日本薬局方」「中薬大辞典」「牧野和漢薬草大図鑑」「和漢薬の事典」
「漢方のくすりの事典」「一般用漢方製剤承認基準」