漢方基礎講座
07. 六腑(1) 胆・胃・小腸


I. 胆

 胆の生理機能は、胆汁の貯蔵や排出を行うことにより、飲食物の正常な消化を助けることです。 胆汁は肝の精気から生成され、小腸に排出されることにより、飲食物の消化と吸収を助けます。
 胆は経絡を通じて五臓の「肝」と密接に関係し、五行では「肝」と同じく「木」に属します。
 胆は他の腑とは異なり、飲食物が通過しません。また、他の腑は気血や精の貯蔵を行いませんが、 胆は胆汁を貯蔵することから「奇恒の腑(きこうのふ)」といわれます。


II.  胃

 胃の生理機能は、飲食物を受け入れ初期の消化を行うことです。飲食物は胃の初期消化を受けた後、 小腸に運ばれ、さらに消化され、吸収されます。
 中医薬学では、胃の消化機能を「胃気(いき)」といいます。病気の回復には胃気が大きく影響すると 考えられ、重要視されます。すなわち、胃気が盛んであれば予後が良好で、胃気が衰弱していれば予後はよくないと考えられています。
 胃の生理機能として、飲食物を小腸・大腸へ移動させることも重要です。この機能が正常でないと、 新しく飲食物を受け入れることができなくなり食欲不振の原因や、濁気が上昇して口臭の原因となります。また、胃の痛みや便秘、 吐気などの原因にもなります。
 胃は経絡を通じて五臓の「脾」と密接に関係し、五行では「脾」と同じく「土」に属します。


III.  小腸

 小腸の生理機能は、胃で初期消化された飲食物を受け入れ、一時的に滞留させ、さらに消化し、 吸収することです。
 小腸は、消化した飲食物を栄養分(水穀精微:すいこくせいび)と食物かす(糟粕:そうはく)に 分別し、栄養分を吸収し、食物かすを大腸へ送ります。
その際、食物かすに含まれる大量の水分を吸収し、不要な水分を膀胱へと送ります。
中医薬学的には、小腸が体内の水液代謝(水分代謝)に影響しているとされています。
 小腸は経絡を通じて五臓の「心」と密接に関係し、五行では「心」と同じく「火」に属します。

(by 漢方アドバイザー・PhD.Ar)

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