漢方基礎講座
04. 気・血・津液(き・けつ・しんえき)

<気・血・津液 (き・けつ・しんえき)>
中医薬学では、「飲食物(水穀=すいこく)」の「栄養(精微=せいび)」、および、空気中の酸素を表す「自然界の清気」が、 身体の基本物質となる「気(き)」「血(けつ)」「津液(しんえき)」を生み、さらに骨や肉となると同時にエネルギー源 にもなっていると考えます。


I. 気(き)

中国哲学では、宇宙を「太極(たいきょく)」といい、太極には「気」が満ちていると考えます。
この「気」の分布には希薄な部分と密な部分があり、密な部分が物体を構成しており、人の身体は「気」が集まってできていると考えます。
大宇宙の気は「陰陽」に二分していると考えられ、小宇宙と位置づけられる人の気も「陰」と「陽」に二分されます。
二分したもののうち、物質性が低く運動性が高いものを「陽」、物質性が高く運動性の低いものを「陰」とし、陽の部分を「気」、陰の部分を「血」「津液」と考えます。

* 気の作用
中医薬学では人体の気のはたらきについて、次の6つの作用があると考えられ、気は運動性を持った物質として考えられます。
(1) 栄養作用 : 人体各部に栄養を与えること。
(2) 推動(すいどう)作用 : 臓器や血液の流れをよくすること。
(3) 温煦(おんく)作用 : 臓器などをあたためること。
(4) 防御作用 : 病邪(病気)と闘うこと。
(5) 固摂(こせつ)作用 : 異常な発汗や出血を抑えること。
(6) 気化作用 : 血・津液の流れをよくすること。


* 気の種類
人体の気はどのような作用が強いかによって、主に4つに分けられる。
(1)宗気(そうき) : 推動(臓器や血液の流れをよくする)作用が強い。
(2)営気(えいき) : 栄養(人体各部に栄養を与える)作用が強い。
(3)衛気(えき) : 防御(病気と闘う)作用が強い。
(4)元気(げんき) : 成長促進、活力を旺盛にする作用が強い。

ほかに以下のような気の種類があります。

(1)正気(せいき) : 病気(邪気)に対抗する機能(免疫力、抵抗力、治癒力など)を指す。
(2)経気(けいき) : 経絡の経脈を流れている気を指す。
(3)臓腑の気(ぞうふのき) : 五臓(肝、心、脾、肺、腎)の機能をコントロールする気を指す。例えば腎気、肺気など。


II. 血(けつ)

※図をクリックすると、新しいウィンドウで大きな図を表示します。

気・血・津液
気よりも物質性の高い液体で、現代医学の血液に近いものですが、同じではないことに注意が必要です。
中医薬学では、血は全身に栄養分を行き渡らせる作用を持つほか、精神活動を支える物質とされ、血が不足すると不眠、不安、健忘などの症状が表れます。
血は「脾(ひ)」で生成し、「心(しん)」の力で「血脈」と「経絡」を循環して「肝(かん)」に貯えられます。
血は「水穀の精微(すいこくのせいび=飲食物の栄養)」から作られるだけでなく、「営気」と「津液」の合成や「精(せい=生殖を支える血に似た物質)」からも生成します。


III.津液(しんえき)

血以外の体液すべてのことで、消化された食べ物の水分が小腸や大腸から「脾」へ運ばれ生成されます。
体内各所を潤すことが津液の主要な機能であると考えられます。
「脾」で生成した津液は「三焦(さんしょう=津液専用の経路)」を経て全身へ運ばれ利用されます。
その後、「腎」に送られ「清」と「濁」に分離されます。
清は再利用され、不要な濁は膀胱に送られ尿として排泄されます。

(by 漢方アドバイザー・PhD.Ar)

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